山の家の空気が、少しずつ変わり始めている。
そう気づいたのは、足元に転がっていた小さな抜け殻を見つけたときだった。
夏が、そこに残していったもの
草の葉にしがみついたまま、蝉の抜け殻がひとつ。
主はとうにいなくなっているのに、その姿だけがそこに残り続けている。夏がここに立ち寄った証のように、しばらく目が離せなかった。

まだ青い、これからの実り
見上げると、栗のイガがまだ青いまま、枝にぶら下がっていた。
棘はもう十分に鋭いのに、中身はまだ固く、開く気配はない。すべてのものが、同じ速さで季節を進んでいくわけではないらしい。

柿もまた、静かに時を待つ
すぐそばの枝には、まだ青い柿の実がひとつ。
虫に食われた葉の隙間から、控えめに顔を覗かせていた。こちらも、色づくまではもうしばらくかかりそうだ。

地面に落ちて、ようやく季節が動き出す
歩いていくと、苔むした石垣の際に、茶色く色づいたイガがいくつも転がっていた。
木の上では足踏みしていた時間が、地面に落ちた途端に動き出したかのように、ここでは季節がしっかりと進んでいる。

道の真ん中にも、ぽつんとひとつ。
誰かが踏まないかとひやひやしながら、そっとその場を離れた。

割れた殻の中に、実りがあった
しゃがみ込んでよく見ると、殻が割れて、艶やかな栗の実が顔を出しているものもあった。
棘だらけの殻の中に、こんなに滑らかなものが隠れていたのかと、当たり前のことに今さら驚かされる。

夏の名残から、実りの季節へ
蝉の抜け殻から始まったこの日の散歩は、青い実、色づいた実、そして割れて顔を出した実へと続いていった。
夏が静かに終わり、山の家にはもう、次の季節の気配が満ちている。
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撮影:SONY α6400
現像:Adobe Lightroomにて、見た瞬間の光の印象に近づくよう調整
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